けんちん汁‗お手軽手順版_令和元年7月盆のお供え精進料理膳

けんちん汁_ゴロっとお手軽バージョン

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〇けんちん汁_お手軽手順版の特徴と魅力

精進料理初心者にまず調理してほしい献立の一つがけんちん汁です。特に何品かまとめて調理する際に、他の料理で出た半端な具材や、むいた皮、葉などふつうなら捨ててしまいがちな食材を無駄にせず、すべて加えて使い切る、精進料理の不殺生の心が活かされた料理です。しかも多くの具材を加えることで味が深まりとてもおいしくなります。

けんちん汁はもとは落としてつぶしてしまった豆腐を利用したことが始まり、という説もあります。大量に作る際は、豆腐に重しを1時間以上かけて水をしっかり抜き、豆腐だけを乾煎りしてつぶつぶ状にして作るのですが、今回は初心者向けのお手軽版レシピということで豆腐を炒める過程でまぜこむ方法をご紹介します。少量を作る際には有効な調理手順です。

少量といっても、けんちん汁を1人分だけ作ることは難しく、かえって具材に無駄が出てしまいます。今回は4人分程度の分量です。多く作る方が、より深みのある味が出ます。なおけんちん汁は「汁」という名称ですが、具だくさんで汁気が少ないのが特徴です。いわゆるすまし汁のような、汁を多くいただく料理とは別ものであると認識してください。どうしても汁を多くしたい方は加えるダシを多くしても良いのですが、その分味が薄くなってしまい、けんちん汁からは離れてしまうでしょう。うつわに盛って冷めると具が汁気を吸ってしまいさらに汁が少なくなってしまうため、早めにいただきます。お供え膳にする際は少し多めに汁を盛るとよいでしょう。

使う具は一例で、すべて無理にそろえる必要はありません。手元にある具材をうまく利用しましょう。なお普段から半端な食材を簡単に捨てずに確保するように心がけ、たまったらけんちん汁にするのが修行道場の智慧です。

お盆のお供えにあたり、食材の命を尊ぶという仏法、不刹生戒の遵守を実践することにもなる「けんちん汁」の調理法をぜひご参考になさり、良きお供え膳を調えてください。

〇けんちん汁_お手軽手順版のレシピと調理手順

1 昆布と椎茸でダシを取ります。けんちん汁(4人分)だけ単品で作るなら昆布5g、椎茸2枚を600mlほどの水に3時間以上、できれば一晩浸けて水出し式でダシを取ります。けんちん汁_ゴロっとお手軽バージョン

2 大根の皮があれば捨てずにとっておき、細く刻んでけんちん汁に利用します。ひごろから料理の際に捨てずにビニール袋にためて保存しておく癖をつけるとよいでしょう。けんちん汁_ゴロっとお手軽バージョン

けんちん汁_ゴロっとお手軽バージョン 3 ニンジン50gを5ミリ大くらいの小さな乱切りまたはさいのめ切りにします。ヘタの部分があれば細かく刻みます。皮はついたままでもかまいません。人参を加えると色どりがよくなり栄養価も上がるため切れ端を保存しておくとよいでしょう。けんちん汁_ゴロっとお手軽バージョン

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4 1のダシでとった椎茸を刻みます。石突(足)の部分を取り除き、傘の部分をまず細切りにし、揃えて5ミリほどの大きさに切ります。けんちん汁_ゴロっとお手軽バージョン

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足の部分も、石突の先端の固い部分だけは取り除き、あとは細かく刻んで利用します。けんちん汁_ゴロっとお手軽バージョン

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5 里芋2個100gの皮をむき、1センチほどの乱切りにします。夏に里芋は少し時季外れですが、里芋を加えることで自然なとろみが出て、また全体的にまろやかな仕上がりになります。手に入りにくければ無理に加えなくてもかまいません。

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里芋は切ったら多めの水に5分ほどつけて余分なぬめり化とアクを抜いておきます。

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6 じゃがいも1~2個100gを里芋と同様に切り、水に浸けてアクを抜きます。じゃがいもの芽はしっかり取り除きましょう。

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7 ゴボウ100gをたわしでこすって泥や皮の部分をこすり落とします。けんちん汁_ゴロっとお手軽バージョン

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縦に切り、太いゴボウの場合はさらにもう一度縦に切り、横向きにして細かく刻んでいきます。ゴボウの歯ごたえが好きな方は大きめに切っても良いですが、他の具材とのバランスや火の通り具合を考慮して、同じくらいの大きさに切る方がよいでしょう。ゴボウはアクが強いので同じく水に浸してアクを抜きます。けんちん汁_ゴロっとお手軽バージョン

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8 コンニャク100gを同じ大きさに切ります。コンニャクはけんちん汁全体の食感を良くし、カロリーも低く、煮崩れしにくいため加えることをお勧めします。

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9 1でとったダシの昆布を細切りにします。昆布の種類によっては一晩漬けるとふやけてドロドロに近い状態になるものもあります。その場合は無理に細切りにせず細かく刻むなどしてもよいでしょう。いずれにせよ昆布を加えることで自然なとろみが加わりまたうまみ成分もより抽出されて深みのある仕上がりとなります。ダシを取った後の昆布は捨ててしまわずけんちん汁に加えて利用しましょう。

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そのほか、大根の葉やいんげんなど、他の料理で残った半端な素材を同じような形に切って利用します。

10 木綿豆腐150gをクッキングペーパーに包んで水気を抜きます。今回はお手軽手順版のため、重しをかけて水を抜かずに、ペーパーの外側から手でギューッと握って水分を絞り出す方法をとります。豆腐はいずれにせよバラバラにつぶしてしまうので一石二鳥です。

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ペーパーから豆腐の水分がボトボト垂れるほど、しっかり握りつぶして絞ります。

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11 いよいよ下ごしらえが終わり、調理味付けに入ります。水に浸けておいた具材はザルにあげて水を切っておきます。

深さのある鍋にごま油小さじ1~2を敷いて中火で加熱します。鍋全体を傾けて油がいきわたるようにします。油の回りが悪いと、具が焦げ付き鍋に張り付くこともあるので、深さのあるフライパンでもよいでしょう。

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12 火を強火にし、具を炒めます。昆布など柔らかい具材は後から加えるとよいでしょう。

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焦げないように木へらで良く炒めます。油を具材全体にいきわたらせるような感じで、上下をしっかりひっくり返すようにして炒めます。

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13 3分程炒め、ある程度具材に火が通って、周囲が透明になってきたら酒大さじ3、塩小さじ1/2を加え、さらに混ぜます。酒を加えると焦げる心配が減ります。火は引き続き強火が良いのですが焦げそうなら中火に落としてください。

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14 10で水気を絞った豆腐を加えます。正式にたくさん作る際は豆腐だけを鍋で乾煎りするのですが今回は略式手順のためすでに具材を炒めている鍋にそのまま加えます。鍋に入れるとほぐしにくいので、入れる前にボールなどで十分つぶしてから加えます。

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15 豆腐を加えると焦げやすくなるので気をつけてください。豆腐を全体に混ぜるようにして炒めます。昆布の状態によりますが、今回はまだ硬さが残る昆布だったためこの時点で昆布を加えました。柔らかいようならもう少し経ってから加えます。

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16 豆腐の水分が減ってつぶつぶのかたまり状態になってきたら1のダシ600mlを加えます。

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17 みりん大さじ2~3杯を加えます。

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18 沸騰してきたら浮いたアクを取り除きます。ただし全て取り除いてしまうとせっかくのごま油成分がまるでなくなってしまうため、ほどほどにします。

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19 アクを取り終えたら弱火に落とし、具材に火が通るまで5~10分程加熱します。

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20 最も硬いゴボウに火が通ったら、最後にしょうゆ大さじ1強を加えてよく混ぜ、味を見て加減し、1分程たったら火を止めます。

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