お寺のすぐ裏に熊が出ました。
今年のはじめに整備した竹やぶのあたりにフキが自生しており、母がフキを摘みにいこうとしたらフキの上で何か黒い塊が動いているのを発見。慌ててそーっと引き返して熊が出た!と。
見に行くと熊もこちらに気付いたのか竹やぶの前から西側に移動し、墓地脇の杉林に座り込みました。
杉林はお寺の建物から北に100m位の場所、墓地からは30m、徒歩で通る人もいる通行量の多い道路からは20mも離れていませんし、10m向こう側には民家もあります。
さすがにまずいので市役所に連絡をして、そのまま監視。
すぐに駆け付けてくれた市役所の熊対策チームが、しばらく熊の様子を観察してどう対策するか相談したあと、轟音玉とかいう爆薬のようなものを杉林に放り投げ、ドッカーンというものすごい音で熊を向こう側の山の方向に追い出しました。この音がとにかくすごい大きな音で、間近で聴いたため熊よりもこっちが驚きました。ただ音がするだけでなく、熊がいやがる臭いが入っていてしばらく寄りつかなくなる効果があるんだとか。
市役所の方がくるまで、20mくらい離れた安全な場所で監視していましたが、その間熊はのっそりと緩い動きでうろうろしていました。動物園の檻の中のような感じです。しかし市役所の方が追いやろうとした時の熊の動きは全く別物で、想像を遥かに越えるすごく早いスピードでのダッシュで林の中を逃げていきました。熊があれほど早く走れるとは。もし対面してしまったら人間の脚ではまず逃げ切れない早さです。監視中にこっちに向かってこなくて良かったと冷や汗が出ました。
数日後、その熊は捕獲されたらしいのですが、その後また別の熊が小学校近辺に出没したとかで、特に朝晩は音の出る鈴などを携行して注意するように地域の全家屋にお達しが出ました。
熊が逃げ込んだ杉林。墓地のすぐ下あたりで、ちょっと向こうには民家が数軒。完全に地元住民の生息域です。
だいたい1m50センチくらいでしょうか。立ち上がって歩く姿を目の前で素人の私が見るとかなりでかく感じます。組み合ったらまず勝てないのは直感でわかりました。これでも市役所の方の話では2~3歳の子供熊サイズだとか。
つい先日も、夜中の11時ごろ寺の参道の方向から通常ではありえないような奇怪な声があがったため何ごとかと懐中電灯を持って行ってみると、カラスをくわえたキツネが逃げていくのを見かけました。杉の木の上のカラスの巣を狐がねらったのでしょう、さきほどの叫び声はカラスの断末魔の声でした。
もう日常的に熊、鹿、猿、猪、狐などがあたりかまわず徘徊し、地元民が丹誠込めてつくった作物を食い散らかし、フンをそこらにし放題。お年寄りや子供がケガをする危険もあります。
一昔前には、ここまで動物が頻繁に里山に出没することはありませんでした。
地元沼田市は「森林文化都市」を掲げていますが、自然が豊かだということは素晴らしい面もたくさんありますが、逆にいえばこうした都会ではほとんど関係ないような山国ならではの難問が起きるということです。
たとえばすぐ近くの尾瀬では、鹿が水芭蕉やニッコウキスゲを食い荒らしてしまい景観破壊が問題視されています。しかしそれも花がきれいだから守りたいというのは人間の都合で、鹿は自然の摂理に従って餌を食べているだけという味方もあります。。全て人間の都合だけで動物を排除して良いのかどうかという視点も当然ありますし、逆に言えば人間としては自分たちの命と暮らしをいかにして守っていくかという立場にあるわけです。
どうやって動物愛護の精神をもって共存していくか、これから考えていかなくてはならないとても難しい問題です。