今年も梅仕事の時期となりました。
梅干しは精進料理には欠かせない食材で一年を通して使うため、この時期の仕込みの出来映えが一年間にわたり大きく影響します。
漬け込む量も一年分となると大量です。寺で採る梅も使いますが、産地によって味や料理での用途が違うため、取り寄せて買う梅も使います。買い込む梅や塩の値段もかなりの額になるので万一カビを出して失敗してしまったら大変な損失になります。
ですから毎年梅干しの仕込みにはとても気を使って気合いを入れて取り組みます。
まずは先日いただいた青梅を梅干しにします。
青いままだと思った通りの梅干しにはならないため、「追熟」作業が必要になります。
梅干しにするなら、梅の木になった状態で黄色く熟してから、もいだものが最高です。
ただしそうした品はなかなか入手できません。というのも、梅はある程度熟してくると木から自然に落ちてしまうのです。風で枝が吹いても落ちるし、鳥などがつつくこともあります。
ですから生産者もとても気を使って育てることになり、稀少性が高まるのです。
また落とさずに収穫したとして、熟した梅は流通段階で非常に傷みやすく、管理が難しいので当然高価になってしまいます。
そこである程度梅が大きくなったらまだ青い状態でもぎ、出荷する場合が多いのです。
これなら収穫も比較的楽だし、流通過程で傷むこともありません。
これはトマトなども同様で、緑のままで収穫して、流通する間に自然に追熟して赤くなって店頭で売られているのです。
梅酒を仕込むにはもぎたての青梅が最高ですが、これを梅干しにするにはしばらく通気性の良い日陰に数日おいて追熟させなくてはいけません。
上の写真がいただいてすぐの青梅、下が3日おいて追熟させた状態です。
黄色く熟し、柔らかくなりました。
あまり長くおくと腐りはじめてしまうのでこのくらい色がついたらよしとします。
追熟した梅を良く洗い、汚れを落とします。いったんザルにあげて水を払い、落ちた汚れを流してからあらたにたっぷりの清水に3時間ほどひたしてあく抜きをします。
梅についた水気を完全に拭き取ります。水が残っているとカビ発生の原因になるのでこの作業は要注意です。ペーパータオル、または清潔なふきんなどで水気を拭き取ったら梅を広げてしばらく乾かします。
次にへた(ホシ)を竹串で一個づつ丁寧に取り外します。
この作業は細かくてとても面倒なのですが仕上がりに大きく影響する欠かせない作業です。
(つづく)