お香について その1

さてしばらくお香の話をさせていただきましょう。

一昔前までは、お香というとお葬式を連想するからか?なんだか陰気くさいイメージがあったようですが、最近はアロマテラピーなどの「香り系」が流行しているので、若い皆さんの間でお香がブームです。

一般の方がお香に関心を持たれるのは良いことだと思います。


お香について その1

かの小林一茶翁は、お香には十の徳があると言われました。
【香の十徳】
1. 鬼神を官能させる
2. 心身を清浄にする
3. 毒を除く
4. 眠気を覚ます
5. 一人の時には友になる
6. 忙しいときに閑をもたらす
7. 多く使っても役立つ
8. 少なく使っても役立つ
9. 永く保存しても腐らない
10.常用しても差し支えない

香を焚く、線香をさすという行為は、その目的によって主にふたつに分類できると思います。
 一つは、自分のために香を焚く場合です。香りを楽しむとか、心を落ち着けるとか。
      この香の十徳は、主にこの場合にあてはまる徳のようです。
 そしてもう一つは、仏さま(広い意味での)にお供えする場合です。
 お寺ではそれこそ、毎日たくさんのお線香や抹香を使いますが、そのほとんどは仏さまにお供えしているわけで、自分のために香を用いるというのは極めてまれです。

いま、自分が線香に火を付けるのはなんのためなのか、これがわかっていないといけません。これは当たり前のようでいて、なかなかわかってもらえないことのようです。
お供え物である以上、仏様におあげするものなのだと自覚しないと、不作法なことになる場合があります。例えば、床に落とした線香をそのまま仏さまにお供えするとか、線香の火を息で吹き消してお供えするとか・・・。まあ、考えればわかることですね。お供え物ですから。まさか料理屋さんで落ちた料理を客に出すなんてありえないでしょう。

仏さまにお供えするという自覚があれば、自然とうやうやしく丁寧におあげするようになるでしょうし、心もこもってくるものです。お寺にお参りした方のお線香の扱いを見ていると、その人の心の中がわかるといわれるのはこのためだと思います。

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コメント

  1. かめ より:

    こんばんは和尚さま。

    御香に関する記事は大変勉強になります。ところで、曹洞宗では、お仏壇には、玉香炉と前香炉が必要だと聞きました。玉香炉は、焼香や抹香を焚くようです。では普段は、前香炉でお線香を焚き、特別な時などに限って御香を焚くのでもよいでしょうか?