インターネット上は公の場です

さて、昨日の続きです。

第三は、私たちがインターネットを利用する際の注意点に関する問題です。

ここ数年、インターネットは急激に発達・進歩しました。うまく使えば非常に便利なツールで、実際に私自身の日常でもとても役立っています。
しかし、インターネット自体まだまだ発展途上であるため、基本的な使用法、注意点やマナーなどが確立していない状態にあります。正確には、ある程度の注意点やマナーは暗黙の了解の中でできあがっているのですが、それはネットに慣れた中・上級者が経験を通じて自然に身につけていくものであって、初心者が一度に身につけるのは難しい状況です。

たとえば包丁はとても便利で、料理には欠かせませんが、指を切る危険性も併せ持っています。あるいは自動車は便利に移動できる反面、交通事故の危険があるわけで、どんな道具でも使い方次第だということは誰もが知っているでしょう。
包丁であれば、指を切らないための持ち方や切り方の基本があり、相手に渡すときは刃先を向けないというようなマナーが常識として確立しています。もっと使い方が難しい自動車には教習所や免許制度すらあるわけです。

ところが、インターネットはパソコンを購入して回線工事さえすれば簡単に使うことができ、事前講習も予備知識も必要ありません。
たとえばスキーをする場合、初心者はまずなだらかな初級ゲレンデで滑ります。上の方を見上げると、急な斜面ででこぼこした上級者用のゲレンデが見えますが、ふつうは、技術も経験もないのにあんな上の方に行ったら大変なことになるぞ、と警戒して、誰かに注意されるまでもなく、そっち行きのリフトには乗らないと思います。また、スキー場は寒いところだとわかっているので、スキーウェアや厚い下着を着て、防寒対策を十分にしてから出発するのがふつうです。

しかし、インターネットの世界では、自宅にいる安心感からか、警戒心を持ったり、十分な準備をしたりしないでパソコンの前に向かってしまう人が多いのが現状です。
興味深い内容のリンクをどんどんクリックしていけば、知らないうちに上級者ゲレンデのど真ん中で立ち往生してしまう可能性があるのです。しかも、まったくウイルス対策などをしないままであれば、それは普段着で寒いスキー場に行くようなものです。間違いなく風邪を引きます。

まさか便利なパソコンに危険があるとは考えもせず、十分な予備知識もないまま、気軽に使われているのが現状なのです。
うっかりすれば、ウイルス感染・個人情報漏洩・知らずに有料サイトへアクセスして課金されるなどの直接被害をもたらすこともあるし、あるいは掲示板などで無責任な発言をしたりして周囲を傷つけてしまうこともあります。

もちろん、だからといって自動車みたいに免許制にすべし、などとは全く思いませんが、少なくとも包丁を持ったとき「おっと気をつけないと指を切ってあぶないぞ」と緊張したり、初心者のうちは難しいゲレンデに昇るリフトには乗らないというような、最低限の緊張感や自制心、そして警戒が必要だと思うのです。その上で、インターネットの基本的な知識やマナーを勉強しなくてはいけません。

数多くある基本的知識やマナーの中でも、今回問題になっているのは、「インターネット上は公の場である」という点です。
くつろぎの場である自宅でインターネットをしているために、つい公の場であることを忘れてしまうのかもしれませんが、回線を通じて不特定多数の外部と交流する以上、それは間違いなく公の場なのです。

メンバー制でない限り、インターネットに公開した情報は、不特定多数に公開されます。また、よほど特殊な方法をとらない限り、情報を発信した者も公的機関が調査すれば特定されます。匿名で書き込めばわからないだろうと甘く考えて、根拠無き中傷や殺害予告や爆破予告などを掲示板に書き込む者がしばしば逮捕されていますが、犯罪に関わると警察が判断した場合、警察等を通じてインターネット回線業者、プロバイダーに接続情報の照会が出されます。それを調べれば、書き込んだ者が判明するのです。
インターネットを「匿名だから何をやってもわからない」と勘違いしている利用者がまだまだ多いのが現実です。

今回、牛丼店でふざけて大盛りにした事件は、24時間営業の店なので営業中であることは間違いないのですが、おそらく深夜などのお客さんがいないときに撮影されたのではないか、といわれています。そりゃそうですよね。お客さんの前とか、あるいは上司の前で仕事中に店の食材でふざけてたら、叱られるのは目に見えていますから。
じゃあなぜ、それをわざわざ動画サイトに投稿したのか。
仲間うちだけで盛り上がろうとしたのか、あるいはウケると思ったのか。
もし、インターネットが公の場であるという認識があれば、投稿しなかったと思うのです。公の場ですから、上司や店長、またはチェーン店の社長も当然見る可能性があるわけで、あるいは見た人に通報される可能性も高いわけです。営業中の店内でそんなことをしているのを自分から上司にばらしているようなものです。
たぶん、こんな大事件になるなんて予想もせず、軽い気持ちでやってしまったのだと思いますが、公の場である以上、自分たちに賛同してくれる仲間だけではなく、多くの人が見ているということをよくわきまえなくてはいけません。

実は似たような事件が、数年前からたくさん起きています。どれも「ネットは公の場である」という認識不足によって発生しています。

その中でも一番ビックリしたのは数年前のことです。ある医師が、自分のホームページの日記に、手術中にふざけて記念撮影した写真などをおもしろおかしい文章と共に載せていました。他にも、医療実験で使用した放射性物質をふつうの流し台から下水に捨てたとか、趣味の温泉めぐりに行くと、記念に必ず湯船の中でおしっこをするとか、信じられないような内容と写真が堂々と掲載されていました。これは写真週刊誌に2ページ載るほど大きな問題になりました。

他にも書ききれないほど多くの、類似事例が発生しています。その多くが、いわゆる自分の犯罪行為をわざわざブログなどで自慢げに公開し、それを良識者に指摘・通報されるというパターンがほとんどです。そんなことをブログに書いてどうするつもりなのか、理解に苦しむ場合も多いのですが、おそらくほとんどの場合、ネット上が公の場であるという認識が足りないために起きているのだろうと思います。

おもしろいことを書けば、みんなが喜んでくれる、というサービス精神は間違えていないと思います。しかし、おもしろければ何でも良いというわけではないのです。公の場である以上、して良いこと書いて良いことと、まずいことの境界線を自分でわきまえなくてはいけません。
たくさんの人にブログを見てもらいたい、という気持ちは当然ありますが、いくらそのためとはいえ、法に反する行為や、他人を傷つけるような内容、場の空気を読めない発言は慎まなくてはなりません。
商業出版であれば、印刷される前に編集者の校正が入りますから、社会的にまずい箇所があれば指摘されます。しかし、自分一人で手軽に発信できるインターネットだからこそ、自分の文章には自分で責任を持たなくてはならないのです。

私には皆を愉快にさせるエンターティナー的な才能はありませんので、当ブログでは「funny」ではなく、「Interesting」な内容をめざして精進していきたいと思います。

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