ゴルゴ13の依頼ルール

以前ある尊敬する先輩僧侶の寺で、部外者立入禁止の執務室に入れてもらったところ、本棚に「ゴルゴ13」の単行本が全巻揃っているのを発見しました。

私は他人の本棚を見せてもらうのが好きです。もちろん、下手すればプライバシー侵害になりかねない行動ですから、許可無く勝手に見たりはしません。そもそも本棚のある部屋に入るということはそれなりに親しい仲でないと不可能ですが。

「本棚に並ぶ書籍をみればその人がわかる」という格言があるかどうか知りませんが、本の揃え具合や整頓状況などによってその人の趣味や好み、また性格もより深く知ることができるように思います。自分の趣味と同じ分野の本をたくさん持っているのを見れば話も盛り上がりますし、レアな本を見つければタイトルを記録して後日購入したり借りたりもできます。

その先輩僧侶の執務室には、仏教関係の絶版書や貴重な専門書がズラリと並び、図書館並みの品揃えで、それだけでもついよだれが出そうなお宝揃いでした。
難しい学術書が並ぶ中、他にマンガ本もないのになぜかゴルゴ13だけが全巻揃っているのは何か特別な意味があるように思いました。
私の勝手な推測ですが、その先輩はおそらくゴルゴ13を単なる娯楽として読んでいるのではなく、その行動規範や生き様などに感ずるものがあり、少なからず人生の手本というか指標のような意味合いで手元に置いているのではないか、と思ったのです。

知らない人はピンとこないかもしれませんが、ゴルゴ13は私が生まれるより前から連載が続き、麻生太郎元総理も愛読していることで知られる人気コミックで、どんな難しい条件でも必ず狙撃を成功させる一流スナイパーの話です。
スナイパーという、日常生活に関わりがない世界の話にもかかわらず、これだけ長期にわたり人気が維持されているのはさまざまな理由があるでしょうが、その一つに、主人公の仕事に対する厳格な姿勢に共感や憧れを感じることが上げられるのではないかと思います。
実際、その先輩僧侶も仕事に対して非常に真面目で厳しい人ですから、好きな作品と通じるものがあるのだと思います。

さて、前置きが長くなりましたが、ゴルゴ13には仕事を依頼するにあたって守らなければならないいくつかのルールがあり、たとえアメリカ大統領であってもそのルールにそって依頼しなければ引き受けてはもらえません。時にはルールを破ったために依頼者が逆にペナルティとして狙われてしまうことさえあります。

ゴルゴ13と同じだなどというとおこがましいのですが、私にも私なりの依頼ルールがあります。
典座ネットのホームページには、私に精進料理関係の講演や原稿執筆、料理教室などを依頼するにあたって守って欲しいことが書いてあります。

それは別に難しいことではなく、まずは電話ではなくメールで依頼をしてほしい、ということなのです。
いくつか理由があるのですが、まず第一に、私は僧侶ですから昼間お葬式や法事などをしていることが多く、そういうときには必ず携帯をオフにしています。
それに、寺の電話はお檀家さんからの大事な連絡のためになるべく無駄な通話で使いたくないのです。身内を亡くして緊急連絡をしてきたお檀家さんが、たいして重要でない内容の電話のために長時間お話中でつながらないのでは困ってしまいます。

その上、電話番号を公開すると本当に迷惑な電話がひっきりなしにかかってくるもので、前も少し書いたことがありますが、株を買いませんかとか明太子はどうですかとか蜂蜜だとか・・昼夜問わず勧誘やセールスの電話がかかってきます。
もちろんそういう類の電話も、仕事でかけてきているのだから一方的に非難することはできませんが、広い寺の境内で掃除をしているとき寺の電話が鳴り、慌ててダッシュで戻って電話を取ると必要ないセールス電話で、庭に戻るとせっかく集めた落ち葉が風で散らばっていたりすると正直言って怒りすら湧いてきます。

さらに最も困るのが、何をどうやって検索しているのか知りませんが、よく調べもせず適当に私のことをネットで検索して、間違えた相手に電話をかける人が少なくありません。
たとえば私は永福寺住職ですが、永福寺という寺の名前は全国各地、宗派も幅広く、たくさんあるのです。永福寺でネット検索して出た番号にやたらめったらかけまくり、「ああそちら精進料理の永福寺さん?え、違うの、そりゃ失礼」などと憚りもなく宣う愚か者!が実際いるのです。
そんなやり方で間違い電話をかけられた方はたまったもんじゃありません。実際、群馬県内に曹洞宗の永福寺は数軒あるのですが、そちらにかけてしまうケースがあとを絶ちません。
ある別の永福寺の住職さんからは「高梨君あての電話がよくかかってきてねえ」と困惑した顔でお叱りを受けております。本当に申し訳ありません。

で、そういうことがあるので電話を使わず、典座ネットのサイトからメールを送ってくれ、と連絡手段を設けているのにもかかわらず、そのルールを守れない方が多いのなんの。

なぜこんな記事を長々と書くかというと、先日あるテレビ番組制作会社のスタッフから寺に電話がかかってきました。詳しい依頼内容は略しますが、精進料理に関する協力依頼でした。
話の流れで、「ところでなぜ私に依頼を?」と訊ねると、「典座ネットを見まして・・で、さっき別の永福寺に電話をしたら、それはうちじゃないから今から言う番号にかけなおすように、と教えてくれたんですよ~~」とのこと。

またですか・・・もうその時点でガックリです。
インターネットが使えない環境にあるならしかたない面もあるのですが、永福寺の電話番号をネットで検索できるなら、メールだって使えるはずです。しかも今回の場合典座ネットを見ているのですから、トップページにある「取材・執筆などの依頼」を読めば、無関係のお寺に迷惑な電話をすることもないのです。しかも、別の寺に迷惑な電話をかけたことを悪びれてすらいない様子でした。
ゴルゴ13ではありませんが、最低限のルールさえ守れない方とはよほどの事情が無い限り仕事を引き受ける気になりません。できることならゴルゴ13に狙撃を依頼したいくらい迷惑です。

ちなみにその依頼は、撮影が2日後とのことで、どう考えてもスケジュール的に無理なので謹んでお断りしました。2日後では食材の準備が間に合いませんし、そもそもそんな直前に頼まれて都合がつくほどヒマではありません。本当に何から何まで自分の都合優先で、相手の都合はおかまいなしの依頼でした。

私も一応仏教者なので、怒りにまかせてこういう記事を書いたわけではありません。今後同じことが起きないように・・という願いをこめてくどいようですが書きました。
ネットを使える人が、メールで連絡を取るのってそんなに難しいことですかね?
頼まれたこちらは、もっと面倒な手間をかけて応じるのですが・・・

また後日別の永福寺さんにお詫びしておかなければ・・・。

ゴルゴ13を詳しく知るには

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